Live2Dで動かす獣人の描き方その➁|#1

GRAPHICS
この記事は約8分で読めます。

Live2Dで動かす為に獣人の上半身について考える

 前回は、Live2Ⅾで扱うキャラクターデザインをどのように考えるかの記事だったけれど、今回は実際に動かすためのキャラクターを描く時のポイントについてを考えてみようと思う。この記事は猫科獣人のBaltOfを考えた時の話をするけれど、どの獣人を描こうとする時にも考えなくてはならない項目だとは思うんだよね。自分の場合は、老若男女どんな人が扱っても使いやすい姿の獣人、そしてファンタジーでありながら現実的な身体構造のデザインをした獣人を目標にイラストを仕上げていく事を考えてデザインしたんだ。

>>>前回の記事『Live2Dで動かす獣人の描き方その①

 もしも今この記事を読んでいる君が、想像するキャラクターに男性らしさや女性らしさ、または幼さや貫録を求めていて、BaltOfとは方針が異なる場合でも何かしらのヒントはあるかもしれないと思う。もし良かったら、時間の許す限りこのまま読み進めてくれたら嬉しいな。

上半身の肩から頭部にかけての獣人らしさ

 猫は『頭が通り抜けられるところならば、身体も通り抜ける事が出来る』と言われている位に身体が柔らかい。そして、頭が大きいと言うより、肩幅が狭くて、首が短めだ。これらの特徴を2足歩行で服を着せて、そして獣人化しようとデザインを考えはじめると1つ目に当たるデザインの壁が発生する。首を人の様に細くすると途端に人間度が爆上がりしてしまうのだ。

立ち絵のキャラクターデザイン7頭身のバルトフ

 前回の記事で貼り付けた最後の立ち絵が判りやすいと思う。首が細いんだよね…。

 一方、獣としての強さや格好良さを最大出力にするファンタジーキャラの多くは背骨ラインの途中から始まり肩首へ到達する頃には大部分が獣的骨格でデザインされている事が多いように感じている。魔物だとか、動物モチーフのモンスターデザインなんかもそうだと思う。

 これら肉食獣系のデザインでよく見かける獣人の多くは、強さの魅力を感じさせる雄キャラが多くて、雌の場合は骨格の図太さへの注目をそらしたウエストをしっかり細くしてバストのある、曲線美を出したキャラクターデザインを見かける。どちらにせよ、シルエットとしてみた時に逞しさと強さを感じるオス、曲線美で美しさを魅せるメスと捉えられるデザインだ。自分は猫や犬の横から観た時の背骨ラインや骨格のシルエットもかっこいいと思うし、作るアバターを老若男女問わず使いやすいようなデザインにしたいなと思っていた。

 立ち絵のバルトフを描き終えたタイミングでは、まだ首は細かったんだ。Live2Dに取り込んだ時に耳を非表示に切り替えた瞬間、首と頭部を見た時に「これでは、人と変わらないデザインだな…」って気づいたんだよ。多くの猫キャラクターは猫らしいものほど首が無い、あるいは首が短いキャラになりがちだ。猫の恩返しに出演しているキャラクター達も首太さを上手く隠すように縦襟の服を着て二足歩行しているものが多かった。猫と人、頭部の違和感を感じたら首の太さを変えてみるとバランスが変わって、獣人らしさの度合いと印象がずいぶん変わるんだなって気が付いた瞬間だった。(そして、必要に応じてマフラーや縦襟、スカーフなんかで首元を隠すというゴリ押し手段もありなんだなと学んだw)

 その後、BaltOfの首は太めに差し替えを行った。ネコ科の中でもピューマは首がある方なので、顔だちをピューマのモチーフに寄せて首を太くすることにしたんだ。描き始めのうちは、ジャガーや一般的な家猫、いろんな猫科動物を思い浮かべながら描いていたんだよ。モチーフの動物をピューマ寄りにしていこうと考えたのが首の太さの問題に気づいたこのタイミングだったんだ。太さの加減は、体格の良い人間の男性を描くときの太さくらいで考えたよ。ゴリゴリマッチョじゃなくてね、骨格・体格の比較的しっかりした一般男性のキャラクターを描くときの感覚の太さを採用したという事だ。今は細かった首を、このサイズ感に切り替えて良かったなと思っているところ。

 ちなみにね、全身立ち絵のバルトフを描くまでは、どれくらいデフォルメするか?もかなり悩んだんだよ。ゲームのキャラクターみたいにしたかった気持ちもあったから、こんなイラストも描いたりしたんだよ。結局採用しなかったけど、いつか動かしてみたいな~。

 この他にも頭身サイズは大き目でアニメキャラクターのようなデフォルメをしたタイプも描いたりして、描き方のいろいろ方向性を模索してみたんだけど、やっぱりリアル感の強いキャラを自分用に作りたかったんだよね。それで、結果がキャラクターデザインシートのファンタジーな姿になったんだ。

 首が無いとXY軸の設定で斜め上や斜め下を向かせた時に肩や鎖骨周辺までのゆとりがなくて可動域が狭くなっちゃうんだよね。だから、首が短すぎちゃったりするのはLive2Dでの動きを制限してしまうキャラクターになっちゃうんだ。なるべく色んな動きをできるようにしたいと思ったら、首はしっかりあった方が良い。(という事で、2頭身とか3頭身のデザインは今回作るのを辞めたんだ。)

 ゴリゴリマッチョなど極端な体格を描こうとしない限りは、自分が描く獣人の首の太さは今回描いたバランスがちょうど良くてLive2Dで動かしやすい。太さもしっかりあるので、獣人らしさもある程度維持できていると思うけど、君はどう思う?

 パーツを描くときには、首をZ軸で横振りにして上や下に顔を振った時に、頭部の付け根と首が途切れてはみ出してしまう事があるよ。予防策としては少し後頭部を描き足した首を描くか、または首そのものを長めに描いておくことをお奨めする。まだこの辺の首の長さの塩梅は模索中だ。これだ!って言うサイズ感や形が判ってきたらシェアしたいなと思うよ。

何頭身で描くのかの問題について

 一般的な人間のイラストでは、7から8頭身辺りのサイズをよく見かけるね。7頭身が女性サイズで、8頭身が男性サイズ、5~6頭身辺りが子供サイズだ。2~3頭身はデフォルメキャラクターとして使われているサイズだと思う。何頭身で描くのかについては人それぞれの好みだと思うけど、Live2Dで動かすイラストを前提で考えると個人的には男性でも7頭身で良いんじゃないかな…と言うのが今のところの結論だ。

 Live2Dで良く動かすパーツと言えば首から頭にかけてだと思うので、全身を映し出した8頭身だと『一番魅力的に見せたいよく動かすパーツ』が小さくなってしまって良く見えない問題がある。パッと見てスタイルは良いんだけどね。

 あと、パソコンのスペックへの配慮も考えると8頭身よりも6~7頭身くらい、可能なら5頭身の方が良さそうだというのが個人的な見解だ。別の記事でも話そうかと思っているけれど、初心者の素朴な疑問の一つに『Live2Dで描くときのキャンバスサイズをいくつにすればよいのか?』と悩む事がある。もちろん自分も悩んだ。調べるとキャンバスサイズを2000pxの設定にする人も居れば、8000pxで描く人もいる。これについて『なぜそのサイズにするのか?』の理由を知ると、これから考えるキャラクターを何頭身で描くかの方針が決まってくると思う。詳細は別の記事で話すとして、『フルHDの解像度は1920×1080ピクセルなので、ドアップにしても綺麗に映したい画角で考える』とキャンバスサイズを決めやすいという事だった。例えば、『顔のドアップを細部まで美しく画面に映し出したい』と考えたら顔1つを縦のサイズ1000ピクセルとして考えて、8頭身を描きたいなら縦8000ピクセル近くのキャンバスが必要になるという事だ。8000ピクセルだなんて、普段キャンバスサイズは適当に考えてA4位にして描いてきた初心者には、その大きさをすぐに理解することはできないだろう。自分がそうだった。とにかく8000ピクセルは大きい。レイヤー枚数を無限に扱えるドローイングソフトでも、処理負荷が高すぎるのでスペックの追いついていないPCやタブレット端末では、作業中に何かしらのトラブルにつながるリスクは大きい事だろう。それくらい大きいという事なんだ。なので、美しく映したい画角をバストアップまでに広げたり、5頭身や6頭身などにして縦のサイズが小さくても目的の画角で綺麗に映せるようなサイズを考える事で容量の節約する必要が出てくる。この話はアプリケーションソフトの操作に慣れていなかった自分が、レイヤー上限と言う制限によって描き直しが必要となり泣いたトラブルの1つでもあるので、別途の1つの記事でまとめようと思う。

 バルトフは7頭身モデルをベースに描いたんだけど、6頭身くらいでもいいかもな…なんて思ってるところ。Palkaloidでは少しずつLive2Dモデルを仕上げていく記事を『初心者の歩み』として記録公開していこうと思うので、その時に使用したデータは配布データとしてシェアしていこうかな。記事の毎号で少しずつ仕上がっていく記録と、その時に使用したデータのシェア。まるで雑誌の『デア〇スティー〇』のような感じで、読みに来てくれた人が一緒に楽しんでくれたら嬉しいなと思うよ(笑)

 ひとまず今日は6頭身モデルを描くときの目安になるラインが入ったキャンバスデータをPSDでシェアしておくね!バルトフがラフで落書きしたデータも含まれているよ、削除するか本線描いて仕上げるなどして遊んだりしてくださいニャ!(ダウンロードファイルは下の記事のまとめからどうぞ!)

 

この記事のまとめ

獣人らしさをアップさせたい時は首の太さにも注目する

 あまり太いと厳つくなってしまうし、細いと人間度がアップしてしまう。まだまだ改良の余地があるけれど、今出ている答えは『人間の男性くらいのしっかりした首の太さ』が良い感じ!

Live2Dで動かすキャラクターを描くときは首は長めに描いておく

 首を太く描くと、短く描いてしまいがちなんだけど、斜め上を見上げたり、左右下を見下ろす角度で頭と首が途切れてしまう事があるよ。長めに描いておいて損はなし!

キャンバスサイズは綺麗に映す画角で考える

結論を言ってしまえば、バルトフが描くキャンバスサイズはスクエアの4000ピクセルだよ!スクエアでなくても良い気はするんだけど、余白があると描きやすいんだよね…。でもレイヤー数を稼ぐならこのサイズもまだまだ改良の余地があるな…と思っているよ。今度キャンバスサイズの話は別の記事にするつもりなので、興味がある人はまた読みに来てね!

バルトフがちょうど良いと思う頭身サイズは5~7頭身

 バルトフを全身立ち絵でキャラクターデザインした時の頭身サイズが7頭身なんだ。デッサンモデル人形の合成人間さんをベースに描いたんだよ。これでも少し大きいかなって思っていて、6から7の間のサイズでも良い気がするな…って最近は思っているところだ。なので、キャラクターイメージに合わせて5~7頭身のサイズが調度良さそうだよ!

PSDの6頭身の目安ラインが入ったキャンバスデータ

ダウンロード前には必ず利用規約を読んでね!自己責任のもと、利用規約を守ってお使いください♪

コメント

タイトルとURLをコピーしました